法律による行政の原理
「法律による行政の原理」とは、行政は、行政機関独自の判断で行われてはならず、国民の代表である議会が定めた法律に従ってのみ行われなければならないことをいいます。
例えば、行政が思うまま活動することを認めれば、国民の自由や権利が害されるおそれがあります。
その結果、議会で定めた法律によって行政をコントロールすること。
これが、「法律による行政の原理」であり、「法治主義」の原理ともいえます。
つまり、行政はどんな事情があっても、独断で行うことは禁止され、法律を守る行動のみ許されます。
以上のような原理は、「法律の優位」、「法律の留保」、「法律の法規創造力」から考えられています。
@法律の優位の原則
法律の優位とは、行政活動は法律に違反して行われてはならないことをいいます。
そして、行政活動と法律が矛盾・衝突する場合には法律が優先し、法律の定めに違反する行政活動は効力を失います。
例えば、首相(行政)が急に消費税を20%引き上げることはできません。
なぜなら、消費税法というものがあり、その規定に反して増税することは許されないからです。
A法律の留保の原則
法律の留保とは、一定の行政活動が行われる際に、必ず法律の根拠を必要とすることをいいます。
具体的にいいますと、租税法律主義というものが憲法84条にあります。
これを法律の留保に基づいて、考えてみましょう。
例えば、首相が急にお菓子税というものを作るとします。(一定の行政活動)
しかし、憲法84条によると新しく税金を課するには、法律の定める条件で作らなければなりません。
よって、法律の根拠なしに急に新しい税金を作ることはできない、ということになります。
ここで言いたいことは、法律の優位だけでは行政に対する法的統制が不十分であり、法律の優位が適用されないような行政活動でも、法律の根拠が必要である、ということです。
日本国憲法84条:あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
B法律の法規創造力の原則
法律の法規創造力の原則とは、新たに国民の権利や義務に関する一般的規律(法規)を作ることは、法律(立法権)に独占されている、ということです。
つまり、法律が権限を与えない限り、行政権は法規を創造することができないことをいいます。
しかし今日では、行政にも一定の規律の下に法規を作ることが認めれられてはいます。
(例)行政立法
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